2012年9月17日月曜日

別れ


 この夏、15年来の友人を亡くした。

 突然だった。3回続けて友人の携帯番号から自分の携帯電話へ着信。いつもはこちらが電話を取らなければ、留守電にメッセージを残すかメールで済ますか、そのどちらかだった。それ以前に15年間二人の間に急な用などなく、互いに気が向いた時に電話をしたり会ったりしていた。
 だから自分の携帯に3回連続で友人の携帯番号から着信があった時点で、なんか嫌な感じがした。慌てて友人の携帯に電話をかけると、友人の声ではない。電話に出たのは友人の弟さんだった。自分が電話を掛けてきた理由を少し取り乱しながら聞くと、躊躇いながら弟さんは友人が亡くなったことを告げ嗚咽を上げた。自分も泣き崩れた。

 この15年間、毎日のように会っていた時もあれば、1年以上会わない時期もあった。でも会えば、たわいもない話で盛り上がって、悩み事も相談し合った。いるのが当たり前で、これから先も気が向いた時に遊んだり飯を食べに行くものだと思っていた。

 愚かな事だけれど、いなくなってから友人の存在の大きさと15年という時間の重みに気付く。自分の身体の中に大きな空洞が出来てしまった。
 友人が亡くなって1ヶ月以上が立ち、電車は相変わらず普通に動いているし、街に出れば人で溢れ返っていて、世界は友人の不在を気にもせず回っている。ふと、そんな事を考え、無性に腹が立つ。そして、そんな時はいつも一粒だけ涙が頬を伝う。